扁桃炎(へんとうえん)や、咽頭炎(いんとうえん)、あるいは喉頭炎(こうとうえん)にかかってから、2~3週間後に、急性リウマチ熱という全身性の炎症があらわれることがあります。心臓リウマチというのは、このリウマチ熱の障害が心臓におよんだものです。日本では、心臓リウマチは、最近、非常に少なくなりましたが、それでもまだ急性リウマチ熱の半数以上を占めています。
心臓リウマチの発病年齢は、リウマチ熱と同じで、小学校年齢に多く、5歳前後から15歳くらいまでがほとんどです。原因は、溶連菌ですが、この菌に感染しても全員が心臓リウマチを起こすわけではありません。子どもの70パーセント近くは溶連菌に感染するといわれますが、そのうち心臓リウマチを発症するのはごく一部にすぎません。
心臓に関する症状
症状は、発熱と、脈が速くなり、心臓に痛みや動悸が起こります。倦怠感が強まり、食欲がなくなります。腹痛や吐き気がみられることもあり、症状が悪化すると心臓への圧迫感や呼吸困難がみられます。
心臓の症状だけのときは、風邪がぶり返したのではないか、と考えられてしまうことが多く、かえって心臓以外にも症状を伴う場合よりも注意が必要です。
心臓以外の症状
症状は心臓以外にもおよび、ひじやひざの関節の腫れや痛みを伴うこともあります。また、 皮膚に痛みのない灰色のしこりや、赤い輪状の斑点があらわれることもあります。さらに、脳が犯され、ひとりでに手足が動いてまるで踊っているかのようにみえる「舞踏病(ぶとうびょう)」を発症することもあります。
さまざまな心臓病のために心臓の収縮能力が弱まり、身体の臓器や組織に必要なだけの十分な血液を送りだすことができなくなった状態を心不全といいます。心不全になると、全身の臓器へ血液が十分にいきわたらなくなり、肺や身体の静脈に血液がうっ滞するようになります。これが「うっ血性心不全」です。
心不全の経過と予後は、その重症度によって異なります。
ニューヨーク心臓協会は、心不全の重症度を次のように分類しています(NYHA分類)。
ニューヨーク心臓協会の心不全の重症度分類(NYHA分類)
1度
心疾患があるが、身体活動が制限されることのない患者。ふつう身体活動ではとくに疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛をきたさない。
2度
心疾患があり、身体活動が制限される患者。安静時は無症状だが、ふつうの身体活動で疲労、動悸、呼吸困難または狭心痛をきたす。
3度
心疾患があり、身体活動が高度に制限される患者。安静時は無症状だが、ふつう以下の身体活動で疲労、動悸、呼吸困難または狭心痛をきたす。
4度
心疾患があり、非常に軽度の身体活動でも愁訴をきたす患者。安静時でも心不全あるいは狭心症症状を示すことがある。少しの身体活動でも愁訴が増強する。
*心不全と診断された場合でも、NYHAの分類で、1度または2度程度ならば、ほとんどの症例で経過と予後は良好です。一方、3度やさらに4度にまでいたるような重度の心不全の場合、予後は悪くなります。入退院を繰り返し、死に至るケースも少なくありません。
心臓病のなかでも最近特に注目されているのは、「虚血性心疾患」です。虚血性心疾患とは、狭心症と心筋梗塞をまとめた言い方です。
狭心症の症状の主な特徴は「胸痛」です。したがって、狭心症の治療は、1.胸痛が起こったときにそれを抑えるための治療、と2.胸痛が起こらないように予防する治療にわかれます。
胸痛が起こったときにそれを抑えるための治療
1.運動は激しい動作をしていて胸痛が起こったという場合は、ただちにそれらの動作を中止します。気分を楽にして安静にし、深呼吸をします。これだけで痛みがおさまることもあります。
2.狭心症の胸痛を抑えるための薬「ニトログリセリン舌下錠」を処方されている場合は、常に携帯します。胸痛が起こったら、まず1錠を舌の下におきます。それで3分待ち、胸痛が消えない場合は、もう1錠、口に含みます。それでもまだ痛みがおさまらないときは、もう1錠(合計3錠)、同様にためします。
3.3錠試してみて、痛みが消えない場合は、狭心症以外の病気が疑われます(心筋梗塞のなかには、狭心症から発展してなる場合があり、そのような場合、ニトログリセリンは効きません)。ただちに救急車を呼び、救急病院へ行く必要があります。
*ニトログリセリンを使用するときの注意点
1.立ちくらみに注意
ニトログリセリンは、狭心症による胸痛の特効薬ですが、血圧をさげる効果もあることから、ニトログリセリンを服用して立ったままでいると立ちくらみを起こす危険があります。戸外にいるときや、高齢の方は、特に注意が必要です。
2.保存に注意
ニトログリセリンは、一錠ずつパックしてあるものなら少なくとも3年間は有効です。しかしビン入りの場合、しっかりとふたをしておかないとその効力が失われます。
虚血性心疾患になりやすい人、つまり危険因子をたくさんもっていると思われる人は次の方です。
1.男性である。
2.高血圧症の患者である。
3.コレステロールが高い。
4.心電図に異常がある。
5.喫煙者。
6.糖尿病の患者である。
7.肥満である。
8.運動不足である。
これらの項目にあてはまる、またはあてはまる数が多い人は、少しでもそのリスクを下げるための生活改善をおこなう必要があります。
まずは、高脂血症や高血圧、糖尿病などの、症状を改善するための食事のコントロールが必要です。脂肪分の多い食事や塩分の多い食事、バランスの悪い食事はあらためます。栄養士による食事指導を受けることをお勧めします。
肥満解消のために運動不足を改めることも必要です。
軽い運動を毎日、あるいは1日おきに定期的に続けることが大切です。これといって特に力まなくても、短い距離なら乗り物に乗らずに歩く、外出先ではエレベータに乗らない、時間のあるときにはたとえ少しずつでも散歩をするようにする、などでも結構ですので、少しずつ、軽いものから運動を生活に取り入れるようにしましょう。
ただし、運動は医師の許可を得て、また内容についても相談しながら決めていきましょう。
気温が低いときにいきなり動き始めるのはよくありません。十分に準備運動をして身体を温めてからゆっくりとはじめるようにします。
喫煙は、問題外です!ただちにやめましょう。また、刺激の強いもの、カフェインが多いものなど(コーヒー、など)も控えます。
心臓病が疑われる場合、まずは一般的な診察、検査(病歴、現在の症状、などを聞く、聴診器の身体的な所見、血液、尿の検査所見、胸部X線検査)がおこなわれ、そのほかに必要に応じて、心臓病の専門の検査がおこなわれます。
心電図、運動負荷試験、ホルター心電図、心エコー図、心臓カテーテル検査、心音図、心臓核医学検査、など。
心臓病の基本的な検査としては、まず心電図があげられます。しかし、心電図だけでは、とらえきれない小さな発作や、安静にしているときに出る狭心症発作をとらえきれないことがあります。そのため、患者さんに運動をおこなってもらって検査する「運動負荷試験」や、24時間携帯型の装置をつけて記録する「ホルター心電図」を行います。そのほか、心エコー図という検査がおこなわれることもあります。
心臓病の専門の検査には、心電図、運動負荷試験、ホルター心電図、心エコー図、心臓カテーテル検査、心音図、心臓核医学検査、などがあります。基本は、「心電図」ですが、それではとらえきれない小さな発作や安静時の狭心症など、を調べるためにほかの検査をおこない、総合的に判断します。患者さんの負担がかからないのは、心電図や心エコー図で、心臓カテーテル検査などは、患者さんへの負担が大きいため、最終的な検査となります。
心音図
心音図とは、聴診器で聞こえる音をグラフに描いたようなものと考えることができます。心臓の拡張や収縮にともなって弁が開閉するときの心音はもちろん、弁膜症や先天性心疾患などの異常な音を詳しく調べることができる検査です。
心臓カテーテル検査
弁膜疾や先天性心疾患、および心臓にかかわるすべての疾患に応用される検査です。
冠動脈の狭窄や閉塞のある場所も詳しく調べることのできる検査ですが、身体の表面から中の様子を探ることができる心電図や心エコー検査とくらべ、患者さんの負担が大きくなります。そのため、心電図やエコー検査、ホルター心電図などでもわからない場合の、最終的な検査として用いられることが多いです。
心臓から離れた手足の静脈や動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を入れて、心臓のなかや、さらには肺動脈にまで挿入することで、それぞれの部位の血圧や血液の酸素濃度を測ることが可能です。
さらにこのカテーテルからヨードの入った造影剤を入れてX線画像を撮ることもあります。それにより心臓内腔の形や動きまでとらえることかができます。
心エコー図
心臓では、心膜、心筋、心内膜、弁、血液はそれぞれ密度が異なることから、超音波を当てるとその境界から反射波が発生します。心エコーとは、この性質を利用したものです。レーダーや魚群探知機などと同じ原理を用いて人間の耳には聞えない超音波をあてて、その反射波を捕らえて記録する検査法です。
心エコー図からは、弁の変化、心室腔の拡大・狭小化、壁の肥厚、壁の運動、心膜液の貯留、および心臓の壁や弁に付着している血栓や心内膜炎で生じているいぼに関する情報が得られます。
心エコー図を用いると、心臓の内部構造と動きを患者さんに負担をかけることかなく、身体の外側から観察することができます。このため、心臓病の場合には、心電図と並び、基本的な検査法とされます。
心臓病の一種、狭心症と診断されたら、その主な症状である「胸痛」への対処が治療の中心となります。
実際に、胸痛が起こったときの対処としては、ニトログリセリン舌下錠を服用します。ニトログリセリンは、狭心症の胸痛の特効薬だからです。そのほか、胸痛が起こらないように予防する治療法がとられます。
たとえば、次のような方法がとられます。
1.抗狭心症薬を服用する。
2.手術を受ける。
1.抗狭心症薬を服用する。
抗狭心症薬には、大きくわけて、「硝酸薬」「ベータ遮断薬」「カルシウム拮抗薬」の3つがあります。
●「硝酸薬」・・・ニトログリセリンは、硝酸薬の一種です。ニトログリセリンの舌下錠は、胸痛が実際に起こったときにそれを押さえるために用いられる薬です。一方、胸痛を予防するために内服可能な形の硝酸薬を、ベータ遮断薬やカルシウム拮抗薬と併せて、1日に数回、時間を決めて服用します。ニトログリセリンは内服では効力がないため、最近は、胸の皮膚から吸収させる貼り薬が用いられることがあります。
●「カルシウム拮抗薬」・・・すべての狭心症のタイプに有効な薬ですが、特に安静狭心症に効果があります。
●「ベータ遮断薬」・・・ベータ遮断薬は、労作狭心症に効果があります。
2.手術を受ける。
これらの薬を服用しても胸痛が軽減しない場合は、手術をおこなう場合があります。
そのほか、高血圧や高コレステロール血症、糖尿病などは、狭心症の危険因子となりますので、そちらの治療を継続することが大切です。
狭心症と診断されると、ニトログリセリン舌下錠による胸痛を抑える治療と、抗狭心症薬(「硝酸薬」「ベータ遮断薬」「カルシウム拮抗薬」)および手術による胸痛を予防する治療が開始されます。もちろんこれらは非常に大切な治療法ですが、予後には、日ごろの生活が大きくかかわります。狭心症のリスクを少しでも下げるような生活へと改善する必要があります。
以下にその注意点をあげます。
1.運動について・・・過激な運動は避けます。
2.トイレについて・・・冬の夜間には、トイレに行くのではなく排尿には尿瓶(しびん)を用いるか、トイレを暖かくする工夫をします。また、排便時には強くいきまないようにしましょう。
3.生活に余裕をもつ・・・早朝は狭心症を起こしやすく、冬は特にその危険が高まります。朝、あわただしく出勤するのはよくありません。また、睡眠不足は狭心症のリスクをあげます。夜更かしをしないことが大切です。
4.入浴、洗顔・・・入浴は熱い湯や長湯は避けます。冬の浴室は、あらかじめ湯船のふたをあけておくなど、浴室を十分にあたためてから入るようにします。また、朝の洗顔に使う水も温水を使うようにします。
5.食事・・・腹八分目にしましょう。満腹になると心臓の働きが活発になり、負担をかけることになります。また、消化のために血液が胃や腸に集中し、その結果、心臓へまわるはずの血液が不足がちになるからです。そのほか、食べすぎによる肥満は、狭心症の原因となる動脈硬化を進めます。高血圧症、糖尿病、高脂血症といった疾患がある方は、それらの治療のためにも食事の改善を進めましょう。
6.喫煙・・・禁煙!は、いうまでもありません。
7.心身のストレス・・・動脈硬化を進める危険因子です。気持ちをゆったりと持ちましょう。